【 r(資本収益率)>g(経済成長率) 】 経済学者トマ・ピケティが2014年に著書「21世紀の資本」の中で示 した視点。

r(資本収益率)>g(経済成長率)

これは、経済学者トマ・ピケティが2014年に著書「21世紀の資本」の中で示した衝撃的であり、かつ重要な視点です。
rは、資本収益率で資本を持っていることにより得られる利益率、gは、経済成長率で労働による経済の伸び率で、r(資本収益率)が、g(経済成長率)よりも大きいことを表しています。

r(資本収益率)>g(経済成長率)は、gの経済成長率よりもrの資本収益率が大きいため、より多くの資本を持っている資本家に富が集中する状況であり、これが所得格差の原因になっているということ、つまりr(資本収益率)>g(経済成長率)の法則が、格差社会の元凶であり、この社会を変える鍵にもなるという指摘です。

この状況を改善するためには、g(経済成長率)を上げていくことが必須であることが解ります。ここで、見逃してはならないポイントは、g(経済成長率)の半分は人口の増加によってもたらされてきたということです。

日本では、2021年11月に岸田内閣の「新しい資本主義」としての戦略で、g(経済成長率)を上げるための具体的な成長戦略と分配戦略が掲げられていますが、ここに挙がっていない、日本の成長戦略として掲げるべき重要なテーマがあります。それが、「シニア人材の活躍」です。

G7の中でも最も急激に少子高齢化が進行して労働人口が減少している日本ではどの国よりも喫緊に、付加価値を生み出す人材を確保しなければなりません。シニア人材がこれまでのようなに福祉的に雇用されるのではなく、戦力として活躍できる雇用が成長戦略として不可欠なのです。