先日、お世話になっている企業のご厚意で、広島カープの元監督、ミスター赤ヘルの山本浩二さんの話を聞くことができました。
自分を育ててくれたのは、チームであり、ライバルであり、対戦した投手であり、一球で勝負するという強い気持ちで毎打席臨んでいたことを、実際の場面をもとに楽しくお話しされ、日常の仕事にも参考となる視点満載の講演でした。
その中で、山本さんの選手現役時の印象に残る話をひとつご紹介します。
名古屋のチームの某投手は、めっぽう早いボールを投げるがコントロールが悪く、デットボールが多かったそうです。
野球のボールは固いですから当たると非常に痛いですよね。へたすれば骨折です。
しかし、怖がると体が反応し、理想の動きよりほんの少し早く肩が開き、構えている手元が前に出て、ボールをうまくヒットできなくなる、ヒットしても力が半減するのだそうです。
これを防ぐには、怖がらない、不安を払拭する精神力が必要です。
そのためには、集中力を高めることが必要なのかと思いきや、山本さんがとった方法は、その投手と食事し親密度を上げること。
名古屋のチームには、学生時代からの親友がいます(マウンド上でよく吠えていた、監督時代には鉄拳制裁でも有名な方)。
その親友を通じてコントロールの悪い問題の投手と会食したそうです。
一緒に食事した相手にはぶつけにくくなるだろうと、勝手に考え、勝手に安心したのだそうです。
集中力強化ではなく、相手への認知を変える発想です。
視点をずらし、安心材料をつくる。さすがミスター赤ヘルです。
野球選手は結果がすべてですから、結果を残すためにひたすら技術を磨けばいいと考えるのは普通で、一流選手はそれを超える発想をしているのですね。
自分の認知を変えることで局面打開する。あらためて確認した次第です。