ブログ更新-「タコツボ型思考」

丸山真男氏が「日本の思想」のなかで、思考形態には“ササラ型”と“タコツボ型”があり、日本では“タコツボ型”が多いと指摘しています。

ササラは竹を先の方にいくにしたがって細く割り箒(ほうき)のような形状をいいます。
根本があり先に行くにしたがって枝分かれしていく様で、西洋の思考形態を指しています。それとは対照的に日本の思考形態は、明治以降に西洋の思考を取り入れ、分野別に閉じた格好で完結しており、それがタコツボと呼ぶにふさわしいということです。

ササラ型思考は根本からだんだんと広がっていくように、土台がしっかりしたうえで拡がりのある思考形態です。
タコツボ型思考はその名の通り思考に拡がりがなく発展性がないと丸山は指摘します。
日本人はタコツボ型思考に陥りがちであり、その傾向はいまでも強いと思います。
国を代表して様々な人たちが集う会議では、西洋人は個人によって意見の違いが顕著なのに対して、我々日本人はだいたい同じ意見のことが多く、思考の狭さを感じることが少なくありません。

丸山はその理由として、日本の思想の系譜に問題があり、根っこがないと結論づけています。その是非はともかく、日本では個人よりも集団ありきで、タコツボの中で考え行動することを優先しがちです。
反対に西洋では、集団より個人を優先し、集団内での対立を解消するために対話があり、合意形成の努力を惜しまないどころか、楽しむ傾向があります。
集団主義にも優れているところはありますが、集団主義は思考の固定化を起こしやすいことを考えると、もう少し個人を大切にする風土を歓迎してもいいように思います。

『中学生・高校生の生活と意識調査2012』(NHK出版)によると、1982年の“自己主張を大切にする割合”は中学生36%、高校生40%で、2002年にはそれぞれ42%、46%と増えてきました。
しかし、2012年になると急激に下がり、それぞれ34%と1982年より下の水準になってしまいました。(スマホ通信による仲間うちの親密度重視の現れとの解釈があります。)
それに対して大人である父親、母親は上昇傾向にあり、2012年にはそれぞれ47%、30%となっています。

大人が個人を大切にする傾向は高まっていますが、子供たちの反転は気になるところです。間もなくそうした傾向をもつ若者が社会に出てきますし、一部の政治家やコメンテーター、一般人のSNSでの匿名投稿などで反対意見を切って捨てる言動などを見ますと(暗澹たる気持ちになりますが)、タコツボ型思考を念頭に置いて、思考や行動のあり方をよく考えることが必要ではないでしょうか。